横須賀市内で発生したタクシー運転手強盗殺人事件
4月3日、神奈川県警はタクシー運転手強盗殺人容疑で米海軍一等水兵を逮捕しました。
3月19日に横須賀市内汐入付近で事件は発生しましたが、3月22日に米軍当局が、同水兵を脱走兵の罪で身柄を拘束し、県警の逮捕に至ったものです。
この問題は、いろいろな角度からの見方、受け取り方があると思います。
(4月5日記)
まず第1に言えることは、殺人という重い罪を米兵が犯したとしても、日米同盟を維持することとは次元の異なる問題である点を、理解すべきであると思います。事件について、公務性は全く否定されます。逮捕された米兵は、脱走中の不良兵隊であり、これをもって同盟の主体である米軍全体を評価することは、不適切であると思います。
第2は、以上のような視点をもって今回の事件を見ても、2年前の横須賀市内の殺人事件等々、米軍関連の犯罪発生率は決して低くはないと思います。米海軍にもいろいろと事情はあると思いますが、外国へ前方展開する兵員の質が低下しているかとの疑問を感じます。つまり、日本へ派遣される米兵に関して、適切な人事管理及び教育がなされているのか、また水兵が所属する艦長を含めて、各級指揮官の指揮統率が適切になされているのか、十分な検証と管理責任の追及が必要であると思います。
第3は、このような事件が起きると、必ず地位協定がやり玉に挙げられます。現実には、起訴前に日本側が逮捕するなど、地位協定は適切に運用され、現在は大きな問題とはなっていません。
条約及び地位協定ともに、同盟双方の当事国が各々の立場・権利を主張し、その結果をもって締結するものです。従って、そこには双方の国家としての国益・思惑が当然にあるものです。米軍の立場に立って地位協定を見る場合、米軍は日本以外の多くの国々と地位協定のようなものを締結しています。そこには、原則として、国家が国民である兵士を、命令で外国へ派遣するのであって、国家はその兵士に対して、十分な法律的・物質的保護を保証する責務があるという考え方が基本にあると考えます。しかし、兵士を保護する責務の方法には、当事国の違い(法社会の成熟度、文明度)、当該行為が公務か私的行為かの違い等、状況により派遣国と受入国の法律適用枠組みは異なるものと思います。つまり、事件ごとにケースバイケースで情勢を判断し、地位協定を解釈・運用するのが現実的であると考えます。
条約に付随する地位協定を改めることは、条約を改めることに匹敵するほどの国家的体力を要する作業であると思います。それよりも解釈・運用で物事を処置していくことが現実的な解決方法であると考えます。
以上、いくつかの視点で見解を述べましたが、強く主張したいことは、この事件を決して看過すべきではなく、米軍当局に猛省を求め、実効性のある再発防止の具体策を要求する必要があります。それが、より強固な同盟関係の堅持へつながるものだと確信します。

